身代わりブレスレット

 

 車から降りると、

 カチンと音を立てて、何かが転がった。

 お気に入りのブレスレットが切れた。

 

 はじめは何だか分からず、音のした方を探してたら、

 魔除けの大きな縞オニキスが、ゴロンと横たわっていた。

 

 ブレスレットには、他にも石はあるのにね、

 縞オニキスだけ落ちて、他の石は連なったまま。

 

 よく見ると、

 小さなボタンカットの水晶が割れていた。

 

 オレンジ色のカーネリアンが

 1つ無くなっていた。

 

 そのほかは連なったまま、私の手首に寄り添っていた。

 ゴムは裂けてなく、スパッと切れたようにしている。

 まるで、ハサミで切ったかのように。

 

 ブレスレットが切れたのは、久しぶり。

 でもこれは、

 身代わりになってくれたんだなと、心の奥で確信する。

 

 おかしなことが有るもんだ。

 しかし、そんなことも有るということ。

 

 魔除けのブレスレットがきれたのは、

 また新たな道を進むため。

 必要なことは取り入れて、いらないものは手離すこと。

 

 いくらやってもならないが、

 本質を見極めることを怠るなということを、

 合わせて教えてくれたのだろう。

 

 

 これを書き、明日は立春だと気付く。

 新しい風が吹くために、

 見えない何かが動いていることを知らされる。

 

 これからの新しい風が心地よく感じられるように、

 穢れを落とし、邪気を払い、エゴを手放すことを忘れてはならないと、

 改めて確認させられているようだ。